令和4年 6月の言葉 

 「3年稽古するよりも、3年師匠を探せ」と、言われる。
道を求める者にとって、師との出会いは大切であり、さらに、その出会いが人生の師となれば、最高の幸せである。
私達も幸いにして、本部道場師範・佐々木将人先生との出会いが、我が武産館の大きな転機となった。

 師は「聞くのは一時の恥 聞かぬのは一生の損」。「恥かけ 恥かけ 恥と汗 かけばかくほど磨かれるのだ」。さらに、師は「私の書いた本は、転載自由だ。なぜなら、この事はあの本から、この話はあの人からと、みな教えられたものばかりで、自分のものは何一つ無いのだ」と、言われた。

 そして、指導者になっていく皆さんに、条件が3つある。1つは「責任は取るものでなく、はたすものだ」。2つは「1日や2日寝なかっても、平然とやっていける体力を持て。3つは「いかなる人からも、本からも、大自然からも学び、真理を知っていくのだ」と、叱咤激励され、鍛えられた。

 思えば、この大自然は、太陽の光、空気、水等、私達を生かす、この恵みは全てタダであり、けっして、みかえりを求めない。また、縁しの親心も同じで、いつも暖かく無償の愛で、子を育てるが、道を外すと、心を鬼にして子を叱り、正しき道を教える。また、我々を設計した大自然の親も、生き方を間違うと、病気・災難を与え、その誤りを知らしめる有難き親心である。
「父母も その父母も 吾が身なり 吾を敬せよ 吾を愛せよ」は、日々道場で皆さんと唱えていますが、活きる者の影には、お陰さまで守られている事を悟る歌である。

 合気道の稽古も、宇宙と一体となる所は肚(臍下丹田)で、取りは受けの全てを吾が腹中に入れて、1つにして投げる。受けは肚なる中心で、取りの気を感じ、肚で受け身を取る。常に取りと受けは触れ合った所(出合い)を御縁として中心(肚)で結び、鍛え合い「中心を知って 中心を守り 中心に結べば自由自在の境地を悟るのである。

 人の世は 縁(えにし)の糸のからみあい たぐる幸せ また不幸せ

                                   館長

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